習近平ファミリーは、自分たちの「蓄財」が暴かれたことに相当な危機感を覚え、遮二無二「保身」措置に走っています

篠原常一郎

インテリジェンスウェポン

習近平ファミリーは、自分たちの「蓄財」が暴かれたことに相当な危機感を覚え、遮二無二「保身」措置に走っています

習近平ファミリーは、自分たちの「蓄財」が暴かれたことに相当な危機感を覚え、遮二無二「保身」措置に走っています。本メルマガ2021/3/18配信「習近平主席一家、親族関係がハッキング被害に。隠し○○を暴露されたことが大きな打撃に…」で、習主席の姉夫婦(不動産事業を手掛ける実業家)の「3億5000万ドル(約380億円)の隠し資産」がSNSで暴露されたことをお伝えしましたが、その余波が続いています。

この事件について、前掲メルマガで「中国公安部サイバー警備部門が情報流出をキャッチしてすぐに消去し、カウンター攻撃でハッカーグループを摘発。24人が検挙された」とお伝えしましたが、4月9日にこの件に関連して中国サイバー空間管理局(CAC、サイバー空間の監視、管理・防衛を所管)が「密告」奨励の専用ウェブサイトを立ち上げたとのことです(アクセスは危険なので、リンクは貼りません)。

【習主席らの個人情報漏洩関与に罰金100万元(1600万円)!】

これは、習近平主席自らの指示に基づく措置だとのことです。習主席は、自身のファミリーの資産状況を含む個人情報がSNS上に漏出したこととあわせ、ネット上に中国共産党・政府・軍への批判や要人の個人情報が暴露されていること、更に党公式の歴史観・解釈を否定する見解が流布されていることを危惧し、これらについて発見した場合、直ちに通報できる「密告ホットライン」の設置を指示したといいます。

CACは、「密告専用ウェブサイト・ホットライン」の設置について、次のような通達を出しています。

「中国社会の一部に様々な意図や悪意を持つ人々が存在しており、共産党や中華人民共和国、人民解放軍について主に歴史的な事実を歪曲・否定、批判する言辞を流布し社会を混乱に陥れようとしてきた。こうした状況に鑑み、我が国で圧倒的多数を占める愛国的なインターネット・ユーザーが自ら積極的にこうした動向に目を光らせ、有害情報を通告してくれるよう期待する」

密告奨励措置ですが、これと共に中国国務院は先に全国人民代表大会(全人代)に対して「インターネット情報管理基本法」改正案を提起。20年前に出来た同法の条文数27条を54条と倍化し、特に「デマ情報」の発信者に最高100万元(約1600万円)の罰金、禁錮刑を罰則として定めるものとなっており、全人代を通過しています。

(参考映像)「中国のインターネット事情 金盾(旅行者向け)」2019/2/24 RoadblockChannel
https://youtu.be/h7AvNZNJ3vM

【中国のインターネット空間で庶民は「言論の自由」を謳歌…】

これまでも中国では、世界中のどこよりも急速かつ大規模にiPhone、スマートフォンが普及し、それに伴ってネット上の違法、不適切情報が氾濫し、警察など当局による摘発件数もうなぎのぼりで推移しています。一方で、サイバー空間は中国社会の底辺で呻吟する労働者、庶民にとって「言論の自由」を感じさせ普段の社会や政治に対する不満のはけ口の役割も果たしているのが実情です。

私自身、2012年9月の未曾有の「反日暴動」の最中に仕事で北京に赴いた際、中国内の代表的なSNS「微博」(ウェイボ)上で膨大な情報が迅速に飛び交い、「危険回避」のために運用したことがあります。中国SNSには、市井の人々の声や目撃した情報に溢れており、この場を利用して特別な暗号アプリをも使った当局に隠れての情報交換も行われています。

まだ胡錦涛主席時代だった2008年、タクシー労働者の「自由労組」(当局公認ではない半非合法の労働組合)が携帯電話用SNSアプリを使用して指令や情報交換を行いながら、中国全土で一斉ストライキを敢行しました。この際も私は現地で事態を観察できましたが(タクシー関係の知り合いも複数いました)、暗号アプリを当局が解読できず、いったい誰がどのような指示を全国の労働者に出しているのか分からない、という状況で知る限りでは検挙者も出さずに当局は「待遇改善の法制化」その他の妥協を示さざるを得なくなりました。

このように、莫大な数のユーザーを抱え、中国の庶民にまで開放されたSNS、インターネット空間は共産党執権(独裁)政治の閉鎖性を崩し、揺るがしているのです。これに対して当局が規制しても、暗号アプリに象徴されるようなユーザー、庶民側の「対策」も無限に出てくるので、いたちごっこになるのは必至と思われます。

習さん、ピンチですね…。

(参考映像)「微博(ウェイボー)って何?」李さんの60秒でわかる中国トレンド」2020/8/13 JSTOカレッジ
https://youtu.be/sudE6YeJzK4

(了)

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