本日は作家の門田隆将氏の「新・階級闘争論」という新刊を紹介したい。

加藤清隆の『俺に喋らせろ!』

本日は作家の門田隆将氏の「新・階級闘争論」という新刊を紹介したい。

 本日は作家の門田隆将氏の「新・階級闘争論」という新刊を紹介したい。

 「階級闘争」というと、一体いつの時代のことを言っているのかとお思いの方も多いと思うが、門田氏は「21世紀の現在、20世紀の一時期を席巻した『階級闘争』が“姿を変えて”世界を覆い始めている」のだという。

 たとえ小さくささいなものでも、そこにある「差異」をことさら強調することによって、“差別の被害者”を生み出し、それに対する「不満」を利用して、本来はあり得ない一種の「階級闘争」に持っていくものだ。
 ポイントは、その「差異」の中で大衆に、自分は「差別を受けている」、あるいは「平等が侵されている側」という“被害者意識”を植え付けることができるか否かにある。つまり、「差別する側」と「差別される側」の2つの階層を概念上、作り上げた上で、大衆をそれぞれのジャンルの“被害者に持っていく”のだ。

 最近の例として、門田氏は2018年9月に起こった「新潮45」に執筆した杉田水脈議員の記事を巡るLGB差別騒動と、2021年2月、女性蔑視発言をしたとして、メディアやSNSの“集団リンチ”の末、東京五輪組織委員会会長の座を追われた森喜朗氏の例を典型例として挙げる。

 「差別」「蔑視」「不平等」といった誰も反対できない概念を突き付けられ、煽動され、騒ぎが大きくなっていった。21世紀の今、日本やアメリカなどで行われているのは、マスコミやSNS が煽り、それに同調した人々が拡散し、当事者を追い詰めていく形をとる。
 個人を徹底的に責め抜き、吊るし上げ、うねりのような「力」を生み出す。狙われた側は、恐怖以外のなにものでもないだろう。

 ベルリンの壁が崩壊した1989年以降、共産主義の敗北はすでに歴史上、決定している。共産主義陣営を率いた盟主・ソ連も解体され、ロシアとなり、東欧をはじめの共産主義圏は総崩れとなった。

 人類史の上では、自由と民主主義が共産主義つまり独裁を前提とする全体主義に打ち勝ったはずだ。だが、共産主義は形を変えて、どっこい生きていた。

 ソ連崩壊後も、共産党一党独裁の中華人民共和国は生き抜いた。国家管理の下、自由経済を取り入れ、当初は安い労働力で世界と低価格による競争を行い、次第に外国の資本と技術を盗み、取り込んだりしながら、一党独裁下の経済成長という「奇跡」を実現した。

 中国はそれに飽き足らず、世界中に工作の手を伸ばしていった。巷間、「左翼」と呼ばれる人々は、中国の存在は一種、心の支えでもあった。彼らは資本主義が大嫌い。あらゆることを政権叩きの材料にし、いつの日か国家転覆を果たすのが目標だ。

 共産主義、あるいは階級闘争が敗北しても、様々な抵抗を試みて来たのが彼らだ。その手段が新しい「階級闘争」に他ならない、と門田氏は言う。左翼は脈々と生き続け、新たな戦いを考え、練り上げ、工夫し、創り出し続けている。

 19世紀から20世紀にかけて、世界を徘徊した共産主義というモンスターは、多くの民衆の命を奪い、不幸と惨禍をもたらした末に敗れ去った。

 しかし21世紀の今、彼らは再び姿を現した。それもインターネット、SNSという歴史上なかった情報伝達手段をもとにして、見事によみがえったのだ。(加藤)

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