西村幸祐氏、東京オリンピック後のスポーツ界を占うpart3

文化スポーツライターキリンコ

【(後編)ファンはプレッシャーでスポーツを育てろ】

 きり:最後にJリーグを創成期から見てこられた先生に、日本サッカーの現在地を教えていただきたいのですが。


 西村:日本は1998年のフランスワールドカップで初出場したわけですが、その時にはすでにアジアの頂点の力を持っていたんです。三浦知良がアジア人初のセリエAのプレイヤーとなり、その後中田がペルージャに行ったわけですが、当時と比べても日本サッカーのレベルがどれだけ上がったかは、ヨーロッパで活躍する選手の数からもわかりますよね。ワールドカップ決勝トーナメントで十分に戦える力があると思っています。最近では富安がアーセナルに移籍するなり結果を出しました。調子の悪かったアーセナルは彼のおかげで勝ったようなものですよ。他にも久保や堂安はもちろんだが、最近川崎フロンターレからブライトンに移籍した三苫にも期待しています。


 きり:それだけレベルの高い日本サッカーが結果を出すのに、足りないピースはなんでしょう。先日のオマーン戦はどうご覧になりました?


 西村:あの試合は酷かったですね。戦う姿勢が全く作れなかった。原因はやはり監督の力量かな。僕はオリンピックが終わったら監督は交代した方がいいと思っていたが、それはできなかったからね。


 きり:できなかった理由は?


 西村:オリンピックでベスト4という結果を出した監督を替えるような英断は、日本のサッカー協会にはできないんですよ。だからサポーターやファンがもっと声を上げて、プレッシャーをかけてチームを育ててほしいと僕は思っています。ヨーロッパや南米のファンの厳しさなんていったら、半端じゃないですから。日本のスポーツを牽引してきたのはサッカーですからね。成熟したスポーツのファンとして、もっと厳しくなっていいと思うな。


 きり:そういう点では日本のバスケの立ち位置はまだだいぶ差がありますね。


 西村:全然違いますね。バスケは多くの人が思いがけない結果にびっくりしているような段階。これからです。バスケのBリーグだって川渕会長(当時)が作ったわけだから。彼がいなければオリンピックへの道も完全に閉ざされていたわけです。


 きり:国内リーグといえば、今年女子バスケのWリーグ会長には映画監督の河瀬直美氏が就任して話題になりました。


 西村:そうそう。彼女はバスケの経験者で、国体メンバーにも選ばれたというのだから相当な実力者ですよ。東京オリンピックの映画も作っているということで、1年延期で大変な苦労があったと思うけれど、期待しています。カンヌ国際映画祭で受賞した作品もよかったですし、一度会って対談してみたいと思っています。


 きり:それは楽しみです。ぜひ実現をお願いします。今日は本当にありがとうございました。(完)

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