西村幸祐氏、東京オリンピック後のスポーツ界を占うpart1
文化スポーツライターキリンコ
【(前編)世界を驚かせた女子バスケ、そっぽを向かれた女子サッカー】
きりんこ(以下きり):女子バスケのコラムにコメントいただいて、ありがとうございました。先生の目に止まったのは、やはり町田瑠唯選手でしたか。
西村幸祐(以下西村):パス、ドライブ、どれをとっても町田のパフォーマンスはピカイチだったと思いますよ。特にフランス戦での18アシストはオリンピック新記録ですからね。海外での評価もうなぎ上りでした。
きり:確かに試合を重ねるごとに国際映像が町田選手のことばかり映すようになって、注目度の高さがうかがえました。今回のチームは今までの吉田亜沙美選手、渡嘉敷来夢選手など主役級の選手はいませんでしたが。
西村:その分それぞれの選手がパーツとなって力を発揮しました。もう一人のポイントガード(司令塔)本橋も、それからキャプテンの高田もよかったね。やはりトム・ホーバスヘッドコーチの組織作りがよかったんでしょう。僕は中学の時バスケ部で…
きり:え? 先生バスケのご経験が?
西村:そう。史上最弱チームのキャプテンだった(笑)。公式戦一度も勝てなくてね。経験者としてもわかるんだが、バスケでの身長差はどうにもならない。だから格闘技に階級分けがあるように、なんらかの制限が必要だと思ってるんですよ。たとえば高身長の選手は2人までとか。
きり:ところがサイズの小さい日本のバスケが世界に通用しました。
西村:アメリカだけじゃなく、世界各国が驚いたと思いますよ。アメリカに負けたとはいえ15点差。これはバスケでは接戦と言えますからね。小さい日本人がここまでやれるのかと。
きり:今後は各国から対策もとられると思いますが。
西村:チームがこれからもっと成長していくためには、やはり中心となる選手が必要になります。渡嘉敷がその役目を果たすでしょうね。そのうえで今のような高度な組織プレイが継続できれば、さらにレベルアップできるでしょう。組織プレイと口で言うのは簡単だが、それを形にするのは並大抵のことではなかったはずですよ。ホーバスが指示したフォーメーションは100を超えるといいますから、そう簡単に崩せるものではない。そのためにはホーバスヘッドコーチにはぜひ続投してほしいですね。まだ決定してはいないようだけれど。
きり:大舞台で結果を出したチームのその後という例では、なでしこジャパンのことがあり少し心配です。
西村:ああ。女子サッカーは最悪だったね。ワールドカップで優勝したチームが今は見る影もない。イギリス戦での抗議行動(国歌斉唱時に片膝をついて 人種差別への抗議行動をとった)あれはなんだったのか。日本人があれをやることに何の意味があるのか、流行にのったとしか思えない。あの時点で日本代表としてのチーム作りができていないことが露呈しましたね。アメリカではこれまで女子サッカーは人気だったけれど、予選でああいう抗議行動をとったことでみんなそっぽを向いた。アメリカでは今回のオリンピックの視聴率が非常に悪かったんだが、無関係ではないと思います。僕だってあの抗議行動があってからがっかりして、女子サッカーは見てませんよ。(中編へ続
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