次期総裁候補は誰かもにらみ、衆院解散・総選挙の時期がしきりと取りざたされている。

加藤清隆の『俺に喋らせろ!』

次期総裁候補は誰かもにらみ、衆院解散・総選挙の時期がしきりと取りざたされている。

 自民党総裁任期が9月30日、衆院議員任期が10月21日と半年後に迫る中、次期総裁候補は誰かもにらみ、衆院解散・総選挙の時期がしきりと取りざたされている。衆院解散・総選挙の時期は大きく分けて3つ。4月中と7月初めの東京都議選とのダブル、東京五輪パラリンピック終了後の9月だ。また次期総裁選びは現在の菅義偉総裁(総理)を軸に前回の総裁選にも出馬した岸田文雄前政調会長、石破茂元幹事長に河野太郎行政改革相、小泉進次郎環境相、それに紅一点、野田聖子幹事長代行が絡む。

 まず衆院解散・総選挙は、菅首相が4月中旬に訪米し、バイデン米大統領と初の日米首脳会談を行い、安全保障や経済協力、気候変動の各分野で共同文書を発表するなど大きな成果が見込まれる上、デジタル庁創設などの目玉政策に近く道筋が付く見通しのため、内閣支持率も上昇が予想される。それをバネに一気に衆院解散に踏み切ろうというものだ。

 菅首相自身のほか、首相を後ろで支える二階俊博幹事長がこの4月解散を狙っていると言われる。既に日程も4月28日または30日に解散し、5月11日に公示、同23日に投開票というものだ。その場合、6月2日が特別国会召集となる。

 現在の内閣支持率は発足当初の70%前後から下降したものの、このところ下げ止まり、最新世論調査では微増だが、上昇傾向にある。現在の40数%がもし50%の大台に乗るようなことがあれば、自民・公明両党の連立政権が勝利する可能性が高くなる。

 菅首相は「4月解散・5月投開票」に焦点を合わせ、大型連休中のインドとフィリピン両国の訪問も決めた。また政権の大きな“宿題”となっていた東京電力福島第1原子力発電所の放射性物質を含んだ「処理水」について、近く関係閣僚会議を開き、処理水の海洋放出を決める見通しだ。また首相自身も全国漁業協同組合連合か(全魚連)会長とも会談し、風評被害対策などについて意見交換する予定だ。

 このように「4月解散」に向け、着々と布石を打ちつつある菅首相だが、最大の問題は新型コロナウィルスの「まん延防止重点措置」が大坂、兵庫、宮城の3府県から東京などにも拡大する様相をみせていることだ。もし3度目の非常事態宣言となると、経済がさらに大打撃を受け、「選挙どころではない」という情勢が一気に広がる恐れがある。

 そうなった場合、残る7月と9月解散の可能性が高くなる。いずれの場合もコロナ感染がある程度収まっている必要があるが、10月21日が衆院議員の任期満了であるため、その場合はコロナの状況とは関係なく、「任期満了選挙」を行わななければならない。

 まず7月4日の都議選との同日選だが、これまで「公明党が強い難色を示している」として、この選択肢の可能性は非常に低いとされてきた。しかし、ここにきて「実は公明党も反対していない」との情報が漏れ出し、7月も衆院選が可能なことが明らかになった。その場合、6月22日公示となる。これだと東京五輪の前ということになる。

 その東京五輪パラリンピックだが、選手団を派遣できる国が少なく、3年後のパリ五輪を東京五輪にするという再延期説もあり、必ずしも7月23日に東京五輪の開会式ができるかどうかは定かではない。もし東京五輪再延期となったら、内閣支持率も下がり、「菅首相では総選挙は戦えない」との声が自民党内から噴出する可能性がある。

 3つ目の可能性の東京五輪パラリンピック後の衆院解散・総選挙については3月初旬に議員会館の自民党議員の事務所にA4版の「総選挙前に党則第6条第1項(総裁公選規程)に基づく総裁選の実施を求める会」の名の下に「怪文書」が配布された。

 これによると「9月7日総裁選告示、同20日総裁選投開票、同22日首班指名選挙、同27日衆院解散、10月24日総選挙投開票」というものだ。

 要するに、菅首相による五輪前の解散を否定するもので、五輪とパラリンピックが閉幕する9月5日を待ち、総裁選、解散、総選挙のスケジュールを例示。総裁選を無投票としたい菅・二階ラインの思惑を察知し、機先を制する意図が込められている。このため、この怪文書に菅首相も二階幹事長も激怒したという。

 それはとりもなおさず、菅・二階両氏が総選挙で勝利し、総裁選はなしで再選されたいとのシナリオを描いているのは間違いない。しかし、このシナリオも安倍前首相と麻生副総理が菅首相を支持することが前提となっている。一部の事情通によると、安倍氏は最近、「菅ちゃんはオリンピックまでは支えなきゃ」と漏らしていると言われる。これは逆にいえば、五輪後は必ずしも「菅支持」とは限らないということを意味する。

 そこで、菅首相が自民党総裁として再選されるかどうかは、ひとえにコロナ対策の正否がこれを握っていると見ていいだろう。安倍前政権から後手後手に回っている印象の強いコロナ対策は菅政権になっても基本的に後手に回っていると言って間違いない。コロナ撲滅の決め手となるワクチン接種もまだ医療従事者だけで、漢人の高齢者への接種はまだ始まっていない。

 菅首相やワクチン接種担当の河野大臣は色々いい訳するが、先進国の中で最も国民への接種が遅れているのが日本であることは疑いようもない。そもそも日本独自のワクチン開発が欧米に比べ、なぜこんなに遅れているのかという問題も合わせ、コロナ対策での国民の政府に対する信頼は非常に低い。

 もしワクチン接種を含むコロナ対策が遅れ、感染拡大・3回目の緊急事態宣言となった場合、菅首相の政治責任は免れず、引責辞任の可能性もある。またワクチン担当の河野大臣も一蓮托生だろう。

 小泉環境大臣もレジ袋やプラスチック製スプーンの有料化などで話題を呼んだが、もし大臣の意図が「プラスチック製品全廃」になるとすれば、日本の石油化学産業は存続できないことになる。大臣が熱心なカーボンニュートラル政策やEV(電気自動車)もそのままいけば日本の基幹産業である鉄鋼業や自動車産業がもう日本では存続できなくなる可能性もあるなど、小泉大臣への反発は非常に大きく、とても年内に首相になる可能性などない。

 野田聖子氏は幹事長代行として二階幹事長に総裁選出馬に必要な推薦人集め(20人)を頼る意向のようだが、20人集めるのは至難の技。同じ理由で派閥を解散した石破氏も出馬は困難とみられる。

 前回の総裁選で2位となった岸田氏は何とか菅氏の後継を狙い、安倍・麻生両氏の支持を得たいところだが、岸田氏の存在感がその後も大きくなっておらず、両氏の支持を得るのは今のところ難しいのではないか。(加藤)

次期総裁候補は誰かもにらみ、衆院解散・総選挙の時期がしきりと取りざたされている。”へ1件のコメント

  1. こまった より:

    野田さんは二階さんに見限られている、菅さんは米国に嫌がられている、安倍さんは親中派過ぎるし、あとは岸田さんしかいないのではないかと思う。

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