中国政府のウイグルに対するジェノサイド(民族大量虐殺)について、日本は・・・

加藤清隆の『俺に喋らせろ!』

中国政府のウイグルに対するジェノサイド(民族大量虐殺)について、日本は・・・

 中国政府のウイグルに対するジェノサイド(民族大量虐殺)について、日本は主要7ヵ国の中で唯一制裁はおろか、非難決議すらしていない。その最大の障害になっているのが、連立与党の公明党というのだから、開いた口が塞がらない。産経に掲載された櫻井よしこさんの記事を引用させていただきながら、この問題について私の意見を述べさせてもらいたい。

 日本ウイグル国会議員連盟の会長である自民党の古屋圭司元国家公安委員長によると、ウイグル、チベット、南モンゴルなど超党派3議連らが協力して日米首脳会談前に中国非難の国会決議の実現を目指した。ところが「どうしても公明党が承知しない。結果として菅首相訪米前に国会の意志としての中国のウイグル人権弾圧非難決議ができなくなった」という。

 国会決議は全会一致が原則で、公明党の賛成なしには決議できない。

 別の議員は「菅首相の訪米前はやめてくれ、とそればっかり。中国の圧力としか思えない」。あろうことか、中国の圧力に負けて公明党は中国非難決議を首相訪米前にしないように妨害したのだという。しかしこれも怪しい。首相訪米が終わっても、そうすんなりひねん決議を認めるとは限らない。何しろ中国に言いなりになっている公明党だからだ。

 山口那津男公明党代表は3月30日の記者会見でこう語っている。「わが国が制裁措置を発動するとすれば、人権侵害を根拠を持って認定できるという基礎がなければ、いたずらに外交問題を招きかねない」。

 櫻井さんも言っているように「笑止千万」。「平和と人権の党」を標榜する公明党が何を言うか。人権侵害の根拠ならいくらでもある。証言者もいくらでもいる。これらが全て嘘とでも言うのか。「いたずらに外交問題を招きかねない」とは、中国の言い分そのものだ。まさしく中国の代弁者。

 同党は菅首相の訪米前の国会決議は絶対に受け入れないが、首脳会談後なら受け入れると言っているそうな。世界に先駆けて行われる対面の首脳会談で日米両国が人権侵害批判、その最たる形でのジェノサイド批判で足並みをそろえるようなことを、中国は何としても阻止したいのだろう。だから訪米前の国会決議は「絶対ダメ」というのなら、まさしく公明党は中国の代理人でしかない。

 山口代表の主張は公明党を支える創価学会の考えを本当に反映しているのか。ウイグル人の虐殺や弾圧で中国を非難しないことをむしろ違和感を抱いているのではないか。

 3月16日、東京での日米両国の外務・防衛担当閣僚による2プラス2で、日米は「香港および新疆ウイグル自治区の人権状況について深刻な懸念」を正式に表明した。この延長線上としてバイデン大統領は菅首相をワシントンに招いたのだ。であれば、首脳会談の最大の眼目は「中国が共産党の異質な価値観と力で、国際社会の枠組変更を強制するのを阻止する」ことにある。

 ならば中国のウイグル人弾圧をジェノサイドとして日本も批判すべきだという意見は国民の代表たる国会議員の間でも強い。だから首相訪米前にG7諸国と足並みを揃えるべく国会決議を急いだのだ。しかし公明党が頑として首を縦に振らない。この罪は非常に大きい。

 櫻井さんは100年前の第1次世界大戦後のパリ講和会議での日本の態度を今一度思い出せと強調する。同会議の国際連盟委員会に出席した日本代表の牧野伸顕は国際連盟規約に人種差別撤廃を明記せよと提案した。多くの国がこれに賛意を示したが、当時のウィルソン米大統領が「重大な問題だけに全会一致でなければならない」と、この提案を握り潰した。しかし国際会議で人種差別撤廃を主張した国は日本が初めてで、各国の注目を集めた。米国は当時まだ黒人奴隷制度が残っていたが、黒人はこのニュースを聞いて、日本を支持したという。

 そんな歴史もあるのに、今の日本政府は加藤勝信官房長官が「わが国には人権問題のみを直接、あるいは明示的な理由として制裁を実施する規定はない」と、まるで鼻を木で括ったような発言があるのみだ。百年前の日本人気概を思い出せと櫻井さんは叱咤激励しているが、全くその通りだ。(加藤)

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