OKINAWA バスケW杯 #6 沖縄の大逆転!

文化スポーツライターキリンコ

OKINAWA バスケW杯 #6 沖縄の大逆転!

来た。「沖縄の大逆転」が、来た。

バスケは得点の動きの激しいスポーツ。サッカーや野球を観る人には考えられないだろうけれど、2分あれば10点差をつけることも珍しくはない。

それでも体力が削られ相手のディフェンスが適応してくる後半は、どの選手もシュートの精度が落ちる。通っていたパスがコートの外にこぼれ、入っていたシュートはリングに跳ね返る。その中で一段階ギアを上げて得点を伸ばすのは、本当に強いチームだけができることだ。よく戦えていたのに最後にぐっと点差をつけられる悔しい敗戦を、日本は何度も経験してきた。

第3Q残り2分53秒で18点差。誰もが「もうあかん」と下を向きそうになってから10点差にまで戻して第3Qを終え、ラストの第4Qを20点差のゲームで圧倒した。第1Qでは13%だった3Pシュート成功率が、落ちるどころか後半には47%にまで跳ね上がった。このお強いチームはどこですか。

NBAでMIP(最も成長した選手)を受賞したマルカネン選手を擁し、ユーロバスケではスペインに大善戦して今大会のパワーランキングで12位(日本は26位)に躍り出たフィンランドは、間違いなく日本より実力が上のチームだったと思う。その相手に演じた大逆転劇だ。

沖縄アリーナは震えた。バスケファンは震えた。では日本はどうだろう。おそらくニュースを見て「へえ」と思う人が大半だ。(余談だが中継したテレビ朝日はこの試合の終盤を、番組延長ではなく別番組の中で放送したため、逆転の場面を録画しそこなった人の怒りがSNSにあふれている。さんざん宣伝したあげくの大失態だ)

日本中がバスケを楽しむには、あともう一押しが必要だ。「この大会でパリ五輪切符をつかめなかったら代表を引退する」と公言するNBA渡邊雄大選手に、フィンランド戦後、22歳の河村勇樹選手は「引退させませんよ」と伝えたそうだ。2019W杯、2021東京五輪で1勝もできず屈辱を味わったベテラン勢は試合後涙が止まらず、一方で若手選手たちはギラギラした目でただただ前を向いた。移りゆく日本代表でこのメンバーは今回限り。このチームで大会中にもう一度、今度は日本中を震わせてほしい。