4月25日の衆参補選・再選挙は予想通り自民の“3連敗”となった。読売は「予想外の逆風」と書いたが、私は最初から自民が3つとも負けるという確信があった。

加藤清隆の『俺に喋らせろ!』

4月25日の衆参補選・再選挙は予想通り自民の“3連敗”となった。読売は「予想外の逆風」と書いたが、私は最初から自民が3つとも負けるという確信があった。

 4月25日の衆参補選・再選挙は予想通り自民の“3連敗”となった。読売は「予想外の逆風」と書いたが、私は最初から自民が3つとも負けるという確信があった。

 そもそも衆院北海道2区は不戦敗。公選法違反で元閣僚が辞め、その後継候補すら出せなかった。参院長野選挙区は、元閣僚がコロナ感染で急死し、弟が出馬という典型的な「弔い合戦」。負けるはずがない。

 残る参院広島選挙区の再選挙だけが、一応勝負になるかなと見られていたが、ここも昨夏の参院選で大規模な選挙違反事件を起こし、裁判で有罪になり、当選無効となった所。昨今の「政治とカネ」問題の象徴的選挙区で、自民が勝てる訳もなかった。

 では、この“3連敗”の影響は何か?まず政権奪取後初の国政選挙に全敗したことで、菅首相が今後秋までに自由に解散・総選挙を行うことが難しくなったことだ。つまり菅氏の解散権を事実上縛る事態となったと言ってよい。

 菅首相は元々、訪米直後に衆院を解散し、5月に総選挙を断行する構えだった。ところがコロナの感染拡大で3度目の緊急事態宣言の発出となり、とても解散どころではなくなった。

 次いで首相は5月末に解散し、7月4日の東京都議選との「ダブル」を模索していたが、これも当然ながら「コロナ次第」。その時点でコロナ感染が沈静化していなければ、とても選挙がやれる雰囲気ではないだろう。

 ということで、菅首相の選択肢は最早、7~9月の東京五輪・パラリンピックを終え、9月中にということに時期が収斂しつつある。ただ9月解散となると、同月30日が自民党総裁任期切れで、その10日ほど前には総裁選を行う必要がある。

 菅首相としては、総裁選を無投票で乗り切るためにも、その前にどうしても総選挙をやりたかったところだ。もし総裁選が先となると、「次の総選挙は菅氏では戦いたくない」と主張する勢力が多数を占め、総選挙を断行する前に総裁から引きずり降ろされるかも知れない。この総裁選を前にするか後にするかで、党内は激しい争いになる可能性がある。

 もう1つの大きな火種は、“3連敗”した菅首相にとって、夏にも人事刷新、すなわち内閣改造・自民党役員人事を行う必要が出て来たことだ。その最大の焦点は評判の悪い二階幹事長のクビを取れるかどうかにかかっている。首相にしてみれば、何とか二階幹事長を辞めさせ、気分一新して解散・総選挙に臨みたいところ。

 しかし二階氏がこれを黙って見ているはずがない。首相のその動きを察知した途端に「菅降ろし」に走ることは間違いないだろう。元々菅氏と意気投合した訳ではない。幹事長続投が保証され、政策も自分の思う通りになれば、誰でも良かったのだ。

 では菅首相の続投がないとなると、誰が後継になるのだろうか?本来なら岸田元政調会長が“筆頭候補”のはずだが、地元の参院広島選挙区の再選挙を落としており、総裁選で勝利することはかなり難しい。河野規制改革相もコロナ配布が難航しており、国民的人気がある訳ではない。小泉環境相は論外。

 そうなると、“誰もいなくなった”と再び菅氏の芽が出てくる可能性を完全には否定できないが、私は安倍前首相の可能性を指摘しておきたい。安倍氏はこのところ、治療が上手くいったと見え、活動が活発で、党内から「再々登板」を望む声が引きも切らない。勿論、現時点では安倍氏本人がこれを了承する可能性は低い。しかし菅氏が急遽辞任したことに伴う“緊急登板”なら、安倍氏も引き受けざるを得ないのではないか?
 私は日本のためにも日本国民のためにもそれが最もいいと考える。(了)

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