自民党内で現在「急浮上」しているシナリオは・・・

加藤清隆の『俺に喋らせろ!』

自民党内で現在「急浮上」しているシナリオは・・・

 自民党内で、春の衆院解散・総選挙の可能性が取りざたされている。中には緊急事態宣言の解除によって「4月解散」が急浮上し、政党獲得予測も自民・公明の与党が「絶対安定多数」を確保できるとの見方もある。菅首相が4月初めに訪米するなど外交で見せ場を作り、デジタル庁創設など目玉政策に道筋がつけば、内閣支持率の回復につながるという期待がある。

 現に最新世論調査では下げ止まり、微増ではあるが、上昇傾向も見られる。しかし解散のタイミングの「決め手」となる新型コロナの感染については、2ヵ月半に及ぶ緊急事態宣言が解除されたものの、感染者数は劇的に減った訳ではなく、自粛解除で気が緩めば、5月の連休の頃に再び感染者数が急増するとの見方もあるのだ。もしそうなれば「衆院解散どころではない」との見方が広がり、衆院議員の任期満了間近の解散の可能性が強くなる。

 自民党の森山国対委員長はテレビ番組でこの問題について「国民に信を問わなければならないことが起きたら、(首相は)躊躇なくおやりになると思う」と述べた。首相は4月初めに訪米し、バイデン米大統領と対面による初の首脳会談に臨む。下村政調会長は講演で「内閣支持率にもプラスになる。その時に(解散)というのは考えられる」との見方を示した。

 自民党内で現在「急浮上」しているシナリオは「4月下旬解散ー5月衆院選」というものだ。これだと自民党が不利とされる4月25日の衆参補選・再選挙も取り込める。首相は米国に続いて5月の連休中にも外遊を検討しており、メディアへの露出は高まる。4月中旬からは高齢者へのワクチン接種も始まり、同下旬にはデジタル改革関連法案の成立も見込まれる。庶民にとって関心が高い携帯電話の料金引き下げも本格化する。

 今国会では「政治とカネ」の問題や総務省の接待問題などで野党に追及されているが、3月下旬に2021年度予算が成立すれば、首相が野党の攻勢の矢面に立つ場面は減るだろう。自民党幹部は「支持率が上昇局面のうちに勝負できる貴重なチャンスになる」と述べている。

 菅首相の党総裁としての任期は9月末。「秋の総裁選の前に衆院選に勝利し、無風で総裁選を乗り切りたい」との思惑もある。しかしそれなら、支持率が70%前後もあった内閣発足当初にしなかったのか?そこで勝利し、地盤を固めていれば、その後の展開も違っていたかも知れない。また二階幹事長のプレッシャーも多少は減じることができたはず。

 また緊急事態宣言の全面解除は経済回復に大きく寄与する可能性がある一方、大型連休前後に感染が再拡大するリバウンドを指摘する専門家も多い。「ワクチン接種で負担を強いられる自治体が反発し、国民に政局優先と批判される恐れがある」との慎重論も依然根強い。

 「4月解散ー5月総選挙」を見送れば、次は7月4日投開票の都議選との同日選が候補となる。しかし、これは都議選に集中したい公明党が難色を示すのは確実。「総選挙はできるだけ遅い方がいい」というのが同党の本音だ。

 一方、続落していた内閣支持率が40%前後とやや持ち直しているものの、党内では「菅首相では衆院選は戦えない」という声も少なくない。議員の中には首相とのツーショットのポスターから河野太郎氏に変更した者も多い。

 党内では東京五輪・パラリンピック開催を追い風に「9月解散ー10月選挙」の期待が最も高い。衆院議員の任期満了は10月21日。任期満了選挙も含め「追い込まれ感が強まれば、選挙は不利になる」との見方もある。首相はコロナ感染状況とワクチン接種の進行状況を睨みながらの判断となりそうだ。(加藤)

自民党内で現在「急浮上」しているシナリオは・・・”へ2件のコメント

  1. こまった より:

    4月解散と聞き、ピーンと来ました。

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