BLITZ推しでいこう #11

〜「知る」からなんとかしてあげたいとあがく〜

車いすラグビーチームBLITZを支えるスタッフたち

文化スポーツライターキリンコ

BLITZ推しでいこう #11 〜「知る」からなんとかしてあげたいとあがく〜 車いすラグビーチームBLITZを支えるスタッフたち

 

「日本一を目指してるチームですから、スタッフを含めてチームワークも車いすラグビー愛も日本一と自負しています!」

 

キッパリと言いきるチームスタッフの藤川明代さんは理学療法士、車いすラグビーのクラシファイア(障がいのクラス分け判定員)、そして日本代表のチームトレーナーでもある。BLITZには藤川さんの他にも葉山実玖さん、四辻英樹さんなど多くの理学療法士が在籍している。

 

日本代表選手から初心者までが一つになったBLITZは、勝ちにこだわるというだけあって、組織づくりも本格的だ。銅メダルを獲ったリオパラリンピックのヘッドコーチ荻野晃一氏が指揮をとり、メカニック、理学療法士、審判を目指すスタッフ、看護師など、車いすラグビーに魅せられたスタッフたちがそれぞれのスキルをチームに提供している。けれどスタッフがチームにもたらすものは、そのスキルだけではないようだ。

 

実は藤川さんの本職は、理学療法士を養成する専門学校 (社会医学技術学院)の教員だ。たとえば頸椎損傷一つをとっても、教室で教える障がいと、衝突や転倒が当たり前の車いすラグビー選手との間には、大きな違いがありそうに思える。それでも藤川さんの思いはいたってシンプルだ。

 

「障がい者を障がい者として扱うと障がい者になるってホントなんですよ。障がい者だってやれることをやるのは当然のこと。だからこそ学生たちにはまず障がい者のことを知ってほしいんです。彼らはこんなふうに当たり前に私たちの周りにいて、生活している。特別な存在じゃないってことを知ってほしい。知るからこそ何とかしてあげたいとあがくし、そうすることで障がい者との間に信頼関係が生まれます」

 

理学療法士になろうとする学生たちですら、若い障がい者の実態を知る機会は多くないのだそうだ。「学生たちに言ってます。『自分たちと同じ社会で暮らしている彼らのことを意識してみて欲しい』って」

 

それは理学療法士だけでなく、私たちにとっても同じことだ。車いすユーザーと言っても状態は一人ひとり違う。車いすラグビーの選手たちは当たり前に大型自動車を運転して体育館に乗りつけ、車いすを下ろして移乗するが、その様子を日常のスーパーマーケットの駐車場で見慣れているかと言えば、NOだ。やはり圧倒的に「知る」機会が少ないのだ。

 

チームの練習を見ていると、選手とスタッフとの絶妙な距離感に驚く。飲み物一つを渡すにしても、試合中の短いタイムアウトの間に、手に麻痺を抱える選手が飲みやすいようにするには、準備と練習が必要だ。それは障がいに対するサポートであり、同時にアスリートに対するサポートでもある。必要最低限の時間で済ますためのプロフェッショナルな配慮。そこに優しさではなく気持ちよさを感じるのは、その数秒がたくさんの「知る」の上に成り立っているからなんだろう。

 

「勝ってくれないと困ります。平日は仕事をして土日もチーム練習ですからね。私たちも真剣ですよ」日本一のスタッフからの檄が飛ぶ。それはチームの勝利だけでなく、車いすのアスリートとして活躍する姿を社会に「知らせてくれ」という激励でもあるように聞こえた。