BLITZ推しでいこう #5

〜「誰が見てもわかる強さ」にロックオン〜  

車いすラグビーチームBLITZ 菅野元揮(すがのもとき)選手

文化スポーツライターキリンコ

BLITZ推しでいこう #5
〜「誰が見てもわかる強さ」にロックオン〜
車いすラグビーチームBLITZ 菅野元揮(すがのもとき)選手

車いすラグビーチームBLITZに興味を持ったら、ぜひインスタにピン留めされたプロモーション動画を見てほしい。倉庫のようないい雰囲気の体育館で、激しくぶつかり合う車いすがアップで映し出される。車いすラグビーの迫力がそのまま見られるこの映像は、実は菅野選手が作ったものだ。音楽もeスポーツもやるという多趣味多才の菅野選手にとって、車いすラグビーはどんな存在なんだろう。

 

「速ければ勝ち。とにかくタイムさえ良ければいいから、わかりやすかった」と中学までのめり込んだアルペンスキーを振り返る菅野選手。そのレース中の事故で頸椎を損傷しながらも、「スポーツのない生活など考えられなかった」のだそうだ。そうしてたどりついた車いすラグビーは、当然ながらアルペンスキーとは全く違う難しさがあった。

 

「団体スポーツの難しさをすごく感じましたね。自分がどんなに努力しても結果に結びつくとは限らないし、評価されないこともあって」タイムが全てのアルペンスキーと正反対の車いすラグビーの特性に苦労しつつ、徐々に菅野選手自身の目指す選手像が見えてきたそうだ。

 

「持ち点2点の選手の中で一番強くなろうと決めました。フワッとした強さじゃなく、明らかに見てわかるフィジカル面で、誰にも負けたくなかった」その言葉通り、ミドルポインターの中で、いやハイポインターに混ざっても、菅野選手の肉体のたくましさは際立っている。目標にロックオンして目に見える形にしていく実現力で、たくさんの趣味を着実に自分のものにしていったのも納得だ。

 

BLITZだけでなくフランスのリーグにも所属するなど、自分の強みを発揮している菅野選手。オーストラリアと対戦した渋谷カップなどにも日本代表として出場して、フィジカルの強さを見せつけていた。こうやって日本代表の座を掴み取るのが今後の目標かと尋ねたら、「違います」キッパリ否定された。

 

「日本代表になるかどうかは、自分が決めることじゃない。あくまで目標は、強くなることなんです」

 

「代表になることを目標においたらそれ以上は強くなれない。それよりも自分らしいプレーで一番強い選手になることが目標」菅野選手がロックオンする選手像を見届けるという楽しみが、また一つ増えた。

 

通常のラグビーファンの女性「ラグ女」には、圧倒的にフォワード選手が人気だ。筋肉質の体に「かわいい!」とときめきたければ、菅野選手推しで間違いなさそうだ。