CPAC2024から見たアメリカと日本の運命

2月21日からワシントンDC(正確にはナショナルハーバー)で始まった世界最大の保守派の国際会議CPACに参加しています。トランプ大統領が登壇する最終日を前に、現地で感じたことをお伝えします。

 

予想通りではありますが、アメリカの保守派、特にMAGA(Make America Great Again)派にとって、最大の敵は国内のバイデン民主党です。極左グローバリスト政党と化した民主党が繰り出すアメリカ破壊政策によって、既にアメリカは原型をとどめなくなっています。

 

日本でもよく知られているジェンダー・アイデンティティ(性自認:LGBTQ+)、批判的人種理論(白人原罪説)、グリーン・ニューディール(二酸化炭素原罪説)、国境崩壊と不法移民大量流入、フェンタニルに代表される致死性の高い麻薬の蔓延などでアメリカは崩壊寸前です。日本では未だに陰謀論扱いされるディープステートという言葉も黒幕を指す言葉として普通に使われています。

 

アメリカの保守派はこれらと戦い、いかにして本来のアメリカを取り戻すかに必死で、登壇者のほぼ全員がこれらの問題に言及し、今立ち上がって戦うしかないと必死に訴えます。

 

これらはアメリカだけの問題ではないので、世界中からフリーダム・ファイターが集まりました。英国のブレクジットを実現したナイジェル・ファラージ氏の他、リズ・トレス元英国首相が来ていたのには驚きました。トレス元首相は在任一カ月半という超短期政権でしたが、イギリス政界が誰に支配されているか、トレス氏がCPACに登壇するほどの保守派であることを考えれば、納得できます。

 

他にも、国内のギャングを一掃し、自らを世界一クールな独裁者と呼ぶエルサルバドルのナジブ・ブケレ大統領、オーバーン大統領の下でグローバリズムと戦い続けるハンガリーの代表団、さらにアルゼンチンの新大統領ミレー氏も登壇予定です。日本からは饗庭浩明JCU議長が参加し、登壇しました。まさに反グローバリズム勢力の結集です。

 

主催国のアメリカからは、例年のことではありますが、将来の大統領、副大統領候補と思しき上院議員、下院議員、知事などが次々と登壇し、人材の層の厚さを感じさせました。昨年12月に開催されたCPAC Japanに政権与党の議員が一人も参加しなかったのとは対照的です。アメリカは凄いスピードで崩壊中で、内戦状態と言っても過言ではなく、武力衝突を伴う本当の内戦に突入する可能性すら否定できませんが、保守派の人材がこれだけ厚ければ、復活の可能性もあるでしょう。人材が払底している日本の方が深刻です。

 

それらの登壇者の話を聞いていて、通底する価値観があることに気が付きます。それは以下のものです。

 

  • バイデン民主党との戦いは左右の戦いではなく、上下の戦いである。すなわち、善と悪との戦いである。
  • アメリカは歴史上最も偉大な国であり、アメリカが強ければ世界も強くなる。
  • アメリカは家族を原点とした伝統的価値観に立ち返るべきである。
  • アメリカはその自由を尊重するモラルの高さにおいて、丘の上の輝ける都市(神の祝福に満たされた世界の規範Shining City on a Hill)でなければならない。(Shining city on a hillはレーガン大統領が演説でよく用いた言葉で、ピューリタンを新世界であるアメリカに導いた政治家のJohn Winthropという政治家がアメリカ上陸目前に自らの演説の中で用いた)
  • アメリカはユダヤ教・キリスト教文化圏である。
  • イスラエルは最大の同盟国であり、イスラエルを支援するのは当然である。
  • 有名大学を始め、全米でハマス・パレスチナ支持の波が広がったのは危惧すべき事態である。
  • ロシアはアメリカの敵だが、ウクライナへのこれ以上の戦争継続は無駄な戦死者を増やすだけであるから停止するべきである。
  • アメリカは国境問題を始め、極めて深刻な国内問題を抱えているのだから、海外の紛争に関わる余裕はない。
  • WHOからは撤退し、資金提供は停止すべき。
  • この深刻な事態を打破できるのはトランプ大統領しかいない。

 

台湾有事と中国の脅威については、「アメリカが関わる余裕はない」という意見と「他人事ではなく、必ずアメリカに影響するから対処しなくてはならない」という意見に分かれていました。

 

岸田政権を牛耳っている米民主党とは違い、共和党MAGA派の対日スタンスは、日本を友人として尊重し、日本の自立を歓迎するというものです。日本にとってはずっと有難い存在です。しかし、日本人は「トランプが大統領に再選されれば変わるのではないか」と漠然と期待するのではなく、上に示した彼らのメンタリティを理解した上で、日本にとって都合のよい状況を創り出すように能動的に誘導しなくてはなりません。受け身では駄目です。

 

まず、日本政府が米民主党に支配されていることを米保守派に理解してもらう必要がありますが、それは饗庭議長が勇気を持って発信しました。

 

「日本駐在米国大使のラーム・エマニュエル氏が岸田政権に圧力をかけて強引にLGBT理解増進法を可決させました」

 

これには会場からため息がこぼれました。完全な内政干渉だと怒る声も多く聞かれました。今後はさらに突っ込んで、戦後一貫して日本を自立させず、属国として維持するのがアメリカの対日基本戦略であること、それゆえに、自衛隊も正式な軍隊ではなく、米軍の存在が前提になっていること、国内に重大な問題を抱えるアメリカはこの際方針を転換し、日本の自立を促し、真の同盟関係を結ぶことがアメリカにとっても戦略上有利であることを説明する必要があります。アメリカ人は知識人であっても知らないからです。私はそれが難しいことだとは思いません。すでにゴードン・チャン氏やジャック・ポソビック氏に個人的に話しましたが、直ぐに理解してくれました。

 

ただ、その際に以下の点をよく理解して無用な摩擦を起こさないことが重要です。

 

アメリカ建国以来のメンタリティで、自分たちは丘の上に輝く都市のような特別な存在でなくてはならないと信じている。(American Exceptionalismアメリカ特別主義)

 

そうあって欲しい、そうあるべきだ、だからモラルを高く維持して欲しいと応じればいいでしょう。

 

自分たちはユダヤ教徒キリスト教を起源にもつ文化圏なので、イスラエルは絶対の同胞である。

 

これは少々困ります。アメリカ政府は即時停戦を求める国連安全保障理事会の決議に拒否権を行使し続けています。これはイスラエルによる徹底報復を完遂させようとしていると思われます。日本としては当然、完全テロ組織であるハマスは非難しなければなりませんが、一般市民に被害が広がるのを黙認するわけにはいきません。アメリカがイスラエルロビーに支配されている証左でもあります。バランス感覚をもって上手く対応しなければなりません。

 

海外の紛争に関わる余裕はない。

 

これは、東アジアの安定はアメリカの国益に直結するのだから、日本の自立を促しながらも、当該地域への関与、台湾とシーレーンの防衛には関与し続けるように説得する必要があります。日本が自立を急ぐとしても、自力だけで防衛する力を得るのには時間がかかります。

 

WHOからの撤退

 

これは、ぜひ一緒に撤退すると共に、グローバル・ファーマの影響力を排除して、独自の協力体制を作ろうと呼びかけるべきでしょう。

 

ロシアは敵

 

これは、ロシアが隣国であり、領土問題を抱えていることから、単純な敵視はできないことを説明し、うまく中立的な外交ができるように努力すべきです。共和党政権であれば可能ですが、問題は民主党政権になった場合です。日本は安倍さんを失いました。

 

前述したように、アメリカの保守派とうまく付き合うこと自体は難しいことではないと思います。しかし、大きな問題が二つあります。

 

まず、安倍さん亡き今、日本側に外務省に頼らずに戦略的な外交ができる政治家がいないということです。外務省は既にリベラルなアメリカ国務省の出先機関のようになっています。日本の国会議員はアメリカ追従派か媚中派しかおらず、日本の国益を優先して日本を真の独立国に導ける能力も気概もありません。

 

そして、国際情勢が日々悪化していることです。ウクライナ戦争がだらだらと続いたことでアメリカは武器弾薬を使い果たしましたが、中東で戦争が始まってしまい、イランとの直接衝突も十分にあり得る状況になってきてしまいました。米英はすでにイランが支援する組織への攻撃を行っていますが、もしイスラエルとイランが戦争状態に陥れば、アメリカはイスラエルを支援して関与せざるを得ません。そのような状態はアメリカをさらに疲弊させ、東アジアでの有事には全く対応できない事態に陥ります。これは日本と台湾にとって極めて深刻な事態です。これはまさに、今そこにある危機です。

 

続く

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