2024年9月8日 / 最終更新日 : 2024年9月8日 三枝玄太郎 無料 安倍さんの高度プロフェッショナル制度は叩きまくるくせに小泉進次郎氏の「解雇制限」の緩和には文句を言わないメディア 2019(令和2)年4月、高度プロフェッショナル制度(高プロ)が成立した。安倍晋三元首相が主導した、左翼に散々叩かれた働き方改革の制度だ。 この制度は、年収が1075万円を超え、業務時間と成果が一致しない証券トレーダーなど高度の専門的知識を有する労働者を対象に労働時間、休日労働のほか、深夜の業務の割り増し賃金の支払いを使用者側に免除する。みなし労働時間制ですら深夜の割り増し賃金は支払われるので、一切の残業代が免除されるとんでもない制度だ、と悪評芬々だった。 このため、労働組合や日弁連などが、「過労死を助長する制度だ」と猛反発したが、現実にはこの制度をきっかけとした過労死は起きていない。 この制度は①健康管理時間の上限を月100時間、または3カ月で240時間とすること②勤務間インターバルを11時間以上確保すること③1年に1回以上、2週間以上のまとまった休暇を取らせること④健康管理時間が月80時間を超えるか、本人からの申し出があった場合は、健康診断を受けることを義務付けること、という4つのうちのどれかを講じないといけない。 だが、この制度は東京新聞によると、2022(令和4)年3月末時点で、21社22職場のわずか665人しか適用されていない。 理由は簡単だ。労働者と使用者の代表者からなる労使委員会を設け、その5分の4の同意が必要で企業側の準備に手間がかかることや、この制度を適用するには、本人の同意が必要で、いつでも撤回可能であるからだ。 まさに大山鳴動して鼠一匹だが、あれほど高プロを叩いたメディアが、小泉進次郎元環境相が提唱する改革「雇用制限の緩和」については、ほとんど異議を言わない。おかしくないだろうか。 例えば50歳代のリストラがあったとき、割増退職金も払ってもらえない可能性が大のとんでもない考えだ。これを「規制緩和」の美名の下に糊塗してしまうのが、いかにも小泉氏だが、また「改革」の名に酔い知れて、小泉総理総裁を誕生させた場合、1年で労働環境がガラッと変わることは覚悟しなければならない。そのときになって、文句を言っても遅いのだ。※「健康管理時間」とは労働時間と同義。 返信をキャンセルする。コメントを残すにはログインしてください。