柿沢グループが乙武洋匡氏を見捨てて立憲民主党へ?
東京15区補選の告示が16日に迫った。
自民党江東区議団(自民・参政・無所属クラブ)は、このコラムで書いた通り、自民党本部の乙武洋匡氏推薦の方針に断固反対の態度を示し、自民党は当初の小池百合子東京都知事との約束を反故にして、12日、推薦を見送った。
乙武氏自身がもともとLGBT理解推進法推進論者だった上、出馬会見で「推薦を求めない」と乙武氏が言ったことを奇貨として、自民は推薦をやめ、不戦敗の道を選んだことになる。これで長崎3区に続く不戦敗となり、島根1区で自民党が敗れた場合、岸田政権は一気に揺らぐことになりかねない。
いずれにせよ、自民党が候補を擁立せず、推薦もしないことを決めたため、各党が自民党に秋波を送っている。
日本維新の会の金沢結衣陣営は、江東区の自民・参政・無所属クラブの川北直人幹事長に接触を図った。自民党の江東区議団は「各々の判断で支援する」という方針を決めたのだが、維新は「自民の票を全てほしいと思ったのではないか」(関係者)と言う。
同じく乙武陣営を推薦しなかった公明党も同様の事情のようだ。
もうひとつ、注目されるのが公職選挙法違反罪で1審東京地裁で有罪判決を受けた柿沢未途陣営の票の行方だ。2021年の衆院選で柿沢氏は7万6261票を集めた。基礎票だけで4万票といわれてもいる。柿沢未途氏の父、弘治氏のころから着々と築き上げた「柿沢派」の区議たちは、事件のためバラバラになった。
柿沢派の区議たちは表立って動いてはいないが、周囲は乙武洋匡氏を推すのではないか、という声が強い。木村弥生前区長が当選した2023年4月の区長選では乙武氏が木村氏の応援演説をしたからだ。
ところが、「柿沢派の票の一部は立憲民主党に流れる」という声があるのだ。これまでの自民、公明、維新の3党が独自に行った情勢分析では、いずれも立憲民主党の酒井菜摘氏がトップを走っていた。共産党の小堤東氏が出馬を取りやめ、一本化したため、ますます酒井氏が有利になったといわれる。柿沢派の一部は「勝ち馬に乗ろうとしている」のではないか、との疑念が生まれている。
飯山陽氏を擁立した日本保守党は、自民批判を繰り返した手前、自民党の票はあてにしない構えで、浮動票の獲得に躍起になっているようだ。
「もともとは柿沢未途氏の公選法違反がきっかけになって補選になったんだけどね」とある自民関係者は複雑な表情を浮かべた。
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