選挙活動を妨害する不届者を許すな

先週の4月16日火曜日、島根・長崎・東京に於いて衆院選の補欠選挙が告示された。それぞれの選挙区において、12日間の候補者の戦いが始まったのだ。

地方選挙であれ国政選挙であれその議会の議員を選ぶ「選挙」というものは、我が国の民主主義を貫く為に有権者の声を国と地方の政策にしっかり反映させる為のものであり、国民にとって極めて神聖な権利である。

しかしその神聖であるはずの選挙が最近様変わりをしてきた。もし時間があればYouTubeにあげられたここ数年の国政選挙や知事選の政見放送をいくつか観て貰いたい(例1・例2・例3)。これらの候補者は明らかに選挙を冒涜しており、政治家になる気など端からないであろう事は政見放送の内容からもよく分かる。

何故、この様な事態になっているのか。大きな原因の一つは「選挙」を「売名や動画再生回数を増やす為の道具」と考える人間が増えて来たからであろう。ここ数十年でインターネット上にはX(旧Twitter)やFacebook、YouTubeといった個人が世界に情報発信出来るプラットフォームが幾つも生まれ、そこへのアクセス数が増えれば利益を得る事が出来る仕組みができてしまった。一昔前には想像だにしなかった変化が我々の社会で起きているのだ。

そう考えると、昭和25年に制定された公職選挙法はこれまでも幾度となく改正はされてきたが、時代に即した形で抜本的に見直すべき時期に来ているのではないかと思う。

例えばそもそも地上波を使いNHKで政見放送をする必然性がどれだけあるのだろうか?今の時代、それをネットで配信しても何ら問題はなく選挙にかかる税金の支出も減らせる筈だ。候補者が自らの考えや政策を有権者に訴える大事な「政見放送」を、自分のアカウントの再生数稼ぎの為の宣伝に使う謹慎な候補者が更に増えていく可能性が高く、それらの問題にしっかりと対応出来る法制度に変えていくべきである。

今回の衆院選の補選では東京15区(江東区)においてつばさの党という諸派から出馬をしている候補者が政党関係者と共に他の陣営の街頭演説を拡声器で妨害し続け、選挙カーを追いかけ回し、事務所に押しかけるなどして選挙活動の妨害を繰り返している。つばさの党の候補者の一連の行動は選挙活動期間中に他陣営に対して実際に嫌がらせを繰り返すのだから、政見放送で悪ふざけをするだけの候補者よりも悪質だと言わざるを得ない。「各陣営で自分達が騒いでいる動画をYouTubeで配信し再生回数を稼ごう」と考える様な“モラルも何も無い常識外の候補者”が誕生してしまったのだ。今回の選挙で「つばさの党」の動画再生回数が上がり利益が出れば、必ず模倣する者が出てくるだろう。そうなる前に我々は「つばさの党」の今回の一連の妨害活動を厳しく批判し、我が国は“候補者は常識的な善人である”との性善説は通用しない国になってしまったことを認識すべきである。その上で今の公職選挙法では金銭のやり取り以外は違反をしても殆ど捕まえない運用をしているが、金儲けの為に選挙を混乱させる様な不届き者の行動も厳しく制限し罰する等、時代の変化に即した法改正と運用を考えていかねばならない。

今回の「つばさの党」の候補者は乙武洋匡陣営の運動員に暴力を振るった可能性があり、運動員の方は警察に「被害届」が出すやに聞いているが、これでこの候補者が逮捕されたとしても、それは刑法の傷害の罪にによるものである。本来ならば選挙活動中に数日間にわたって執拗に選挙妨害(選挙の自由妨害罪)をし続けていたのだから、選挙期間中であっても公選法の「選挙の自由妨罪」で逮捕するなど、法の運用の見直しすべきである。

《参考》 (例1 2021年千葉県知事選 https://youtu.be/d6JIxik3X-A?si=872m6veqHTanIIO2 (https://youtu.be/d6JIxik3X-A?si=872m6veqHTanIIO2)) (例2 2020年東京都知事選 https://youtu.be/m3ymf1DqxUA?si=5iFaib00Dn5nkIyf ) (例3 2019年参議院議員選 https://youtu.be/dwqzVPbMavI?si=ymHtqCqMLMkX7aQ1 (https://youtu.be/dwqzVPbMavI?si=ymHtqCqMLMkX7aQ1) )