日本初戦の快勝の裏でラグビー🏉World Cup2023 FRANCE #2

文化スポーツライターキリンコ

日本初戦の快勝の裏で ラグビー🏉World Cup 2023 FRANCE #2

Chi Chi Chi ! Le Le Le!
2023年のW杯で唯一初出場を決めたチリの、スタジアムを揺らすような声援が頭から離れません。

ラグビーの街トゥールーズでの第一戦となった日本チリ戦。街からガロンヌ川の中洲に建つスタジアムへ向かう通りには、通称「車えび」と呼ばれる代表ジャージを着た日本人が目立ちます。

前回のワールドカップは日本開催だったし、2015年南アフリカに勝利したブライトンの奇跡を目撃した日本の旅行客は、まだ数えるほどしかいなかったのに。

サッカーW杯に比べるとずっと歴史の浅いラグビーW杯の観戦旅行だけれど、飛躍的に人気が高まっていることに驚かされます。

それに比べるとチリの国旗を持ち、赤いTシャツを着たサポーターはごくわずか。ラグビー人気もこれからだろうし、わざわざフランスまで来る人がいないのも納得…したはずでしたが。

スタジアムに入った途端、チリの陽気で力強いコールに圧倒される日本人たち。一人ひとりの声も熱量もあまりに大きくて、人数の少なさなど問題になりません。

試合は日本が6トライをあげボーナスポイントも獲得しての快勝でしたが、前半後半ともにディフェンスを突破して気持ちよく最初のトライを決めたのはチリでした。

爆発するような歓声のうねりは点差のついた終盤まで衰えなし。試合後は、選手たちと奮闘を讃えあうチリサポーターに他の観客も声を合わせ、スタジアムが一つになります。

日本代表のプレイ自体も点差ほど圧倒したものとはいえず、トライを狙っても狙ってもチリのディフェンスに阻まれるジリジリした展開でしたが、応援はチリの圧勝でした。これは悔しい。

次戦の相手イングランドには人数でも敵わないだろうし、ラグビーボールを赤ちゃんに例えた子守唄「Swing Low」の大合唱にやられてしまう! 会場を支配できる歌やチャンツの新兵器導入が急務です。

一方で、優勢だった試合を落としてしまったチームもありました。一週目のベストマッチとも言われたウェールズフィジー戦です。

トゥールーズの街ではどのレストランも通りにテーブルとモニターを出してラグビー観戦。フィジーのフィジカルとスピードに、地元のフレンチも立ち上がって歓声を送りましたが。

決まれば逆転の最後の攻撃、ゴール前でノックオンして試合終了。ヒーローになり損ねてしまったラドラドラ選手の、試合後も立ち上がることのできない落胆ぶりに、同情と労いの拍手が湧きました。

「Go Japon! 」通りですれ違うたびに拳をあげてくれるフレンチたち。あまりのスマイル対応に驚くけれど、同じヨーロッパ勢より日本やミクロネシアのチームを応援したくなる心情は、まあわかる。

英語で聞いても答えてもらえなかったりと、何かと意地悪なイメージのあるフレンチだけれど、この旅の間はジャポンラグビーに免じて優しくしておくれ。祈りながら観戦の旅は続きます。