2023WBCは魔法にかかったもんが勝ち

文化スポーツライターキリンコ

2023WBCは魔法にかかったもんが勝ち

大谷の打撃練習をプロ野球選手たちが見守る。ポカンと口を開けて、目をキラキラさせて。一流選手を少年のようにしてしまう魔法に、今、日本中がかかっているようだ。

大谷やダルビッシュというスーパーヒーローの凱旋に、コロナ禍による規制の解除も後押しし、グッズは買えない、チケットは取れない、狂騒曲さながらのWBCがいよいよ開幕した。

社会人チームとの練習試合にも完敗だった中国を相手に先発は大谷投手、打線には大型バッターがずらりと並び…それでも楽勝、とはいかないのが国際試合だ。結果的には8-1の快勝だが、終盤までは点差がつかない重い展開だった。

昨年のサッカーワールドカップの盛り上がりにも「試合を見ていると気持ち悪くなってきて、日本がんばれ! なんてとても思えない」と明かした栗山監督の言葉を思い出す。

北京オリンピックでフライを落としたGG佐藤。3連覇を賭けたWBC でダブルスチールを失敗した内川。日本を代表する名選手たちの青ざめた顔は、大活躍した選手の顔以上に記憶に残るものだ。人気や期待が、時には残酷な刃になることを私たちは知っている。

だからこそ日本を沸かせる今回のWBCは結果より成績より、とにかく陽気に楽しみたい。だっていつもは若者からやってくる「お祭り現象」が、野球という中年の得意分野で発生しているのだ。もうそれだけで何勝分かの価値はあるだろう。

「キャッチャーも打つの?」「4番てエースのこと?」昨夜もトンチンカンなLINEが姪からいくつも届いた。こんなお祭りWBCでもなければ野球を見ることもない若者たちも、TVやアマプラで試合を見てくれている。魔法が解けるまでは名解説者ばりの議論は後にして、誰よりも無邪気に楽しむのが今年のWBCの必勝法だと思う。

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