中共は東京五輪開催中の１９６４年１０月に最初の核実験をして以来、侵略したウィグル人の土地である桜蘭遺跡周辺のタクマカラン砂漠でメガトン級の大型地表爆発、空中核爆発、そして地下核爆発を繰り返し、多数の人が死んだ。消滅した村もある。
　さらにおぞましい臓器狩りが始まり、移植ビジネスが横行し、ウィグルの人権は完全に蹂躙されてしまった。こうした非人道事件を、日本のマスコミはほとんど報じていない。

　中国政府のウィグル人に対する極悪非道な行為は、トランプ米前政権が「ジェノサイド（大量虐殺）」と公式に認定したことで、世界に知られるようになった。これに対し米国などを中心に、来年の北京冬季五輪開催を中止するよう求める決議案が議会に提出されるなど、中国政府に対する制裁が活発になった。ただウィグル人に対する非道な行いは、冒頭に紹介したように中共が成立した１９４９年以来ずっと続いているということを我々は知らなければならない。高田純氏が書かれた「脱原発は中共の罠」を引用しながら、この問題を紹介したい。

　ノーベル賞作家大江健三郎は１９６４年１０月の中共の核実験・核武装に対して雑誌「世界」に「核実験成功のキノコ雲を見守る中国の若い研究者や労働者の喜びの表情がいかにも美しく感動的だった」と書いた。その地は中共に侵略された新疆ウィグルだ。

　大江が中共の核実験を絶賛した１９６４年６月、中共は２メガトン威力の大型水爆実験を強行した。そこはウィグル人たちが暮らす桜蘭遺跡周辺地域で、しかもやってはいけない地表核爆発だった。地表核爆発は莫大な放射能を含む砂を広大な風下地域に降下させるので非常に危ない。致死リスクがある。

　中共は、この内陸で３回もメガトン級の地表核爆発を強行した。そのため、１９万人以上が放射線で急性死亡したと推計される。総核核爆発回数４６回、２２メガトンは、広島原爆の何と１３７５倍にも達する。米ソは危険回避のため太平洋などで人口地域から１００キロ以上離して水爆実験をやった。

　内陸での中共の水爆実験は世界最悪の蛮行だ。それを侵略したウィグル人たちの土地で強行した。北京から遠く離れた西方で爆発させたのは、その危険を知っていたからに他ならない。大江はフランスが南太平洋で核実験を始めると、猛烈にフランス批判を始めた。フランス産のワインは飲まないと宣言した。しかし大江はウィグル地区での核実験には完全に沈黙を続けた。

　また中共がメガトン級の核実験を強行した桜蘭遺跡周辺には、その同じ時期におよそ２７万人もの日本人が当地を観光していた驚愕の事実はほとんど知られていない。日中国交回復後,NHK のシルクロードを紹介する番組の影響を強く受けた多くの日本人が、ウィグルを観光に訪れている。彼らが訪れたシルクロードは、核爆発地点のごく近くや、爆発後に多量に降った核の砂で汚染された地域だった。日本人観光客はバスに乗って陸路旅をし、そうとは知らず核の地獄巡りをしていたことになる。

　日中国交回復した１９７２年以降の総核爆発は３３回、９・６メガトンにも及ぶ。広島原爆の６００発分が日本人のシルクロード観光期間中に炸裂していたのだ。また核爆発終了後の１９９７年から２００８年までに現地を訪れた日本人は推定５７万人にも上る。核アレルギー症と言われる日本人だが、合計８４万人もの人が核の地獄巡りをしてきたことになる。
　この核爆発災害に一切触れることなく、一方的にシルクロードの歴史ロマン番組を繰り返し放送したNHK の責任は非常に重いと言わざるを得ない。（了）