先頃、中国が台湾のパイナップルについて、害虫が検出されたとの理由で輸入を全面的に禁止した。

加藤清隆の『俺に喋らせろ!』

 先頃、中国が台湾のパイナップルについて、害虫が検出されたとの理由で輸入を全面的に禁止した。中国は年間4万㌧も台湾からパイナップルを輸入しており、これが停止されたら、台湾のパイナップル生産者は大打撃を受ける。

 これに対し、日本をはじめとして米国、カナダなどに中国に代わってパイナップルを輸入しようという動きが発生。特に日本ではわずか4日間で4万1687㌧もの発注があり、昨年の中国の輸入量を上回った。台湾の蔡英文総統が大変喜び、ネットに登場し、日本語でお礼を言ったほどだ。

 実はこうした中国の嫌がらせは、昨年9月、豪州産の大麦についても同じように権益有害動植物が混入したことを理由に、中国は輸入を一部停止した。豪州からはこのほか、石炭やワインの輸入も停止しているが、いずれも豪州が中国のコロナ対策などで厳しい対応を打ち出している“報復”とみられる。こうした嫌がらせをすれば、相手国が折れるのを待っているのだ。

 石炭については、インドのモディ首相が豪州産の鉱業製品を今後さらに多く輸入する方針を表明。インドはコロナ後の経済回復策として、豪州の石炭、鉄鉱石、銅、鋼、アルミニウム、コバルト、レアアース、ニッケルなどを輸入するという。豪州のダン・テハン貿易相は「インドとの公式的な協力には時間がかかるだろうが、相手は豪州と自由貿易協定の締結を望んでいる」と述べた。

 豪州は石炭とワインが中国市場に進出できない状況下で、これに代わってインド市場でこの2つの分野でのチャンスを模索。ワインはインド以外でも米国やカナダにも輸入する動きが出ている。インドの石炭需要は、人口増加に伴う経済成長によって、今後も増加し続ける見通しで、豪州が以前中国に輸出していた量を上回ることは確実だ。国際エネルギー機関は今後10年間、インドの石炭需要量は豪州の石炭生産量の半分を超えると予測している。

 こうした中国の“横暴ぶり”に対しては各国で中国に“制裁”を加える動きが強まっている。特に中国政府のウィグルに対する残虐行為に対しては、トランプ政権が政権終了直前に「ジェノサイド(大量虐殺)」と認定。続くバイデン政権も同様の考えを引き継いだ。このため米議会は来年冬に開かれる北京冬季五輪の開催を中止または開催場所の変更を要求。これが受け入れられない場合は米国選手団の派遣をボイコットするよう求める決議案が提出された。カナダやオランダでも同様の動きがあるほか、米上院には米国内で中国人の持つ不動産を凍結する案が超党派で提出された。

 これに対し中国側は「米国のジェノサイド認定は完全に間違っており、深刻な内政干渉だ」などと激しく反発している。しかし世界各国には中国のコロナウィルスよって大変な迷惑を蒙ったとの認識があり、その上ウィグルに対するジェノサイドは絶対に認められないとの方針で足並みを揃えており、この動きはさらに強まりそうだ。これまでのところ、何の反応も示していない日本もいずれ対応を鮮明にする必要に迫られるだろう。(了)

 先頃、中国が台湾のパイナップルについて、害虫が検出されたとの理由で輸入を全面的に禁止した。”へ5件のコメント

  1. こまった より:

    パイナップルダイエットというのがあって、それだけを1日に1個食べるんだったかもしれない。1日やりました。

  2. しまりん より:

    パイン買うのなかなか大変そうだったので、サニーヒルズのパインケーキを買ってきました。
    うめぇです。

  3. こまった より:

    台湾のパイナップルは国内で90%消費しているそうです。しかし10%でも打撃なのはわかります。豪州石炭は品質が良く、日本が全面的に輸入している国です。モンゴルや北朝鮮近辺の石炭は地質がウランを含んでいるのであまり良いとはいえません。C国の空気が日本にも流れ、それで肺がんが多くなっていると言う記事もありました。豪州の石炭を輸入しないのは外貨不足もあると聞きました。

  4. Teawhoney より:

    日本政府は、当然、中国共産党政権によるウイグル人の大量虐殺を認定し、モンゴル人・チベット人への弾圧も強烈に非難しなければならないと思います。
    それとは別に、日本国内にいるウイグル人の身の安全さえ、中国共産党のスパイによって脅かされている現状は、もっと広く知らしめるべきだし、一刻も早く対処しなくてはならないと思います。

    1. Teawhoney より:

      加藤先生の別の記事(「命がけの証言」に関する記事)へのコメントを、間違ってこちらへ送信してしまいました。
      申し訳ありませんが、可能でしたらこのコメントを削除してください。

こまった へ返信する コメントをキャンセル

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です