BLITZ推しでいこう #6

〜「楽しむ」姿がこんなにかっこいい訳は〜

車いすラグビーチームBLITZ 

長谷川勇基(はせがわゆうき)選手

文化スポーツライターキリンコ

BLITZ推しでいこう #6  〜「楽しむ」姿がこんなにかっこいい訳は〜  車いすラグビーチームBLITZ  長谷川勇基(はせがわゆうき)選手

「いやいや」「わけわからん」同行した若いカメラマンが盛んに首を振る。車いすラグビーを初めて見る彼には、長谷川選手が教えてくれた自身の障害と、目の前で繰り広げられるプレーとのギャップに、思考が追いつかないのだ。

 

そうでしょうよ、そうでしょうとも。何様だか知らないが、車いすラグビーのファンの一人として私は得意げだった。だが当の長谷川選手からは「見せつけてやる」ような意気込みは全く感じられない。

 

「見せることは意識してますね、有観客も戻ってきたし、見て楽しんでもらいたいから。モデルの撮影も、そこは少し似てたかな」雑誌のモデル経験もあり、服にも靴にもヘアスタイルにもこだわりのあるおしゃれ番長の長谷川選手にとって、見せたいのはがむしゃらにアピールする強さではなく、あくまでクールな姿のようだ。

 

「日本代表になったからと言って、マインドは全然変わらないんですよ。みんなでワイワイ楽しくやるのが好き。車いすラグビーもその延長です」転倒事故で頸椎を損傷し、車いす生活へ。そこから趣味として車いすラグビーを始め、日本代表として活動するまでになった。目まぐるしい変化の中であえて守っているマインドは、障害の重いローポインターの魅力そのものに見える。

 

「僕らローポインターは特に、人にやってもらわなきゃいけないことが多い。車いすに乗るのも荷物を運ぶのも手伝ってもらわなきゃいけない。だからみんなお願い上手ですよ」と笑う長谷川選手。簡単に言うけれど、挑戦する勇気と助けを求める勇気を合わせ持つのは簡単なことではないはずだ。もがきたくなるような場面でも、自分を見誤らない冷静さがあるんだろうか。だからあんなにかっこいいんだろうか。

 

「BLITZは、まあ個が強いです。スピードやパワーといった能力もそうだけど、性格もそう(笑)これがどうチームとしてまとまるかですね。今年度は新人も入ったけど、技術ばかりを教えるというよりは一緒に楽しむ、試合だって楽しんでやることを忘れたくないと思ってます」

 

あくまで「楽しむ」そして「楽しんでいる姿を見せる」ことにこだわる長谷川選手。「日本代表戦は、楽しむ、と言ったらよくないな(笑)しっかりパラリンピックの切符を取れるようにがんばります」

 

できないことではなく、できることにフォーカスする。過去や未来ではなく、今できることに集中する。きっと長谷川選手にとって、いや、誰にとっても「楽しむ」と「がんばる」は同義語なんだと教えてもらったインタビューだった。